生物系博士の就職活動

情報が少ない博士学生の就職活動について、生物・バイオ系博士が製薬企業の就活を行って得た情報・知識を記事にしています!

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バイオ・生物系博士は就職できないのか?

バイオ・生物系博士は就職できないのか?

 

結論から言うと、就職はできます。

ただ、自分の希望に合致した業界・職種で就職できるかは別です。

博士人材のメリット・デメリットから就職活動についてまとめます。

 

 

  

博士課程の学生の進路

 

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  (文部科学省HP: 先導的大学改革推進委託事業調査研究報告書一覧(平成22年度に終了した調査研究)より)http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1307187.htm

 

調査対象が理学ですが、全体の約21%が民間企業に就職しています。

調査時点(11月)で就職が決まっていない人や決まっていても調査に協力していない人もいるので、実際はもう少し高いかもしれません。

 

ポスドクだけで37%、大学で雇用される人も含めると50%以上はアカデミアでのキャリアを選択していることになります。

 

民間企業に就職する際に博士を持っていることはメリットになるのでしょうか?

 

メリット要素

博士であること

 

博士であること自体が一つのメリットです。

大手の製薬企業の場合、研究開発職において近年博士の募集が行われるようになっています。

 

修士課程の学生でも、もちろん研究開発職に就くことは可能ですが、母数が多いので倍率は博士課程に比べて高くなります(また、博士課程の募集と学部・修士課程では採用枠が別)。

 

また、中小企業の研究開発職においても博士の学位が必須であることがあり、民間企業で研究開発職を行うのであれば、博士の学位は一つのメリットになります。

 

民間企業への就職ではないですが、アカデミアでキャリアを積んでいくためには必要となります。

基本的にポスドク助教になるためには博士の学位は必要です。

 

民間企業の研究開発職・アカデミアでキャリアを積むためにも博士の学位を持っているのは一つのメリットになります。

 

研究で培った能力 

 

一般的な博士課程の学生が研究で得られる能力として、

・専門性

・論理的思考能力

・プレゼンテーション能力

・研究をやり抜く力

などがあると思います。

 

これは企業が博士人材に期待する能力やスキルに当てはまっています。

 

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(博⼠課程在籍者のキャリアパス等に関する意識調査-フォーカス・グループ・インタビューからの考察-」.⽂部科学省科学技術・学術政策研究所.Discussion Paper No.152,2017年)

 

デメリット要素

新卒の年齢が高い

 

大手の製薬企業などではなく、一般的企業に入社する場合、年齢はデメリットになります。

浪人・留年がない場合、学部卒で22歳、修士卒で24歳、博士卒では27歳となります。

つまり、博士が新卒で入社する時、学部卒で入社した人はその会社で社会人5年目になります。

 

社会人5年目の人と自分が比較された時に優れている点がなければ、企業側が採用するメリットがないですよね?(学部卒で採用して、自社で育てればいいので)

 

その人達と比較される訳なので一般企業に入社する場合、困難なのは間違いないです。

 

「博士」を採用していない企業がある

 

博士を持っていることは「メリット」の一つでしたが「デメリット」の一つにもなります。 

 

大手の製薬企業では博士の採用が行われていますが、ジェネリック医薬品などを扱う製薬企業の場合、博士を採用していないことが多いです。

そのため、大手の製薬企業で採用されなかった場合、製薬企業での研究開発職として採用されるのは困難になります。

 

また、 研究を行っていない民間企業では博士の採用を行っていない企業も多いです。

 

企業側の意見

文部科学省科学技術・学術政策研究所からのデータで、企業側にアンケートを取ってまとめた資料があるので、そこからデータを抜粋しています(シンクタンクコンサルティング企業の意見例です)。

博士の印象

・博士の人は、「今の研究を続けたい」と思っているのではないか

・「自身の研究」にしか興味がない博士が多いという印象

・「(自分の)専門だけを伸ばす教育」を受けた学生は当業界(シンクタンク)で活躍するのは難しいだろう」

調査研究の評価

・アカデミックな調査ができるだけでは評価できない。「クライアント」が納得できる調査をしてほしい。

・「ビジネスの視点」と大学の視点が異なることに気づいていない人が多い印象

などの意見があるようです。

 

 

筆者も民間企業に応募した際は、「研究を続けたいのではないか?(研究開発職以外に応募時)」、「アカデミアで研究は続けないのか?」という質問はほぼ毎回聞かれたので、

 

なぜ「民間企業で就職・研究したいか」については、明確な答えが必要だと思います。

  

詳しくは以下のリンクからどうぞ。

www.nistep.go.jp

 

まとめ

(大手の製薬企業などで)研究開発職に就くにはメリットがある

研究開発職以外の職に就く場合、デメリット面が強いかもしれない