博士が100人いる村(平成30年度・最新版)
創作童話や動画で見たことがある人もいると思いますが、博士が100人いる村の元データといわれている学校基本調査の平成30年度版が発表されました。
今回はこのデータから博士の就職の実態に迫ります!
学校基本調査とは
学校基本調査は文部科学省が実施している調査になります。
文部科学省は,学校教育行政に必要な学校に関する基本的事項を明らかにすることを目的として,標記調査を昭和23年度より毎年実施しています。
調査対象は
幼稚園,幼保連携型認定こども園,小学校,中学校,義務教育学校,高
等学校,中等教育学校,特別支援学校,大学,短期大学,高等専門学校,
専修学校及び各種学校並びに市町村教育委員会
となっており
グラフやデータを見るのが好きな人は見てみると面白いですよ(いるのか・・?)。
リンクはこちら(学校基本調査-平成30年度結果の概要-:文部科学省)
記事のタイトルになっている「博士が100人いる村」は学校基本調査(平成12年度版)を元に作成されたと言われている創作童話です。
博士が100人いる村
この創作童話は、博士号を取得した人の進路について紹介しているものになります。
元のサイトはこちら(http://www.geocities.jp/dondokodon41412002/)ですが、ページの移動が面倒くさいので、
6分間時間がある方はこちらを見た方が分かりやすいです。
修正バージョンなので若干違いはありますが、元の創作童話とおおよそ同じです。
余談ですが、どこかで聞いたことあると思ったら「ひぐらしのなく頃に」の「you」と「奈落の花」でした。いい歌なんですが、この動画と合わせると凄く切ない感じになりますね。
その最新データがこちらで学校基本調査-平成30年度結果の概要-:文部科学省
最新の結果をまとめたいと思います。
博士が100人いる村(平成30年度版)
・博士は今年16000人くらい産まれました。
・100人のうち、68人は就職します。
・ただし、14人は任期付き(1年以上)の非正規雇用職員(ポスドクなど)です。
・100人のうち、5人は1年未満の雇用・短時間勤務の研究員など一時的な仕事をします。
・100人のうち、19人は進学も就職もしていません(無給の研究員など)。
・100人のうち、8人は分かりませんでした(国内外大学院進学、臨床研修医、不詳・死亡)
動画では最後の8名に当たる部分があたかも行方不明・死亡したようになっていますが、必ずしもそういう訳ではないです。というか、むしろその割合は少ないです。
ちなみに、修士課程修了者だと就職者が79人になり、3人が一時的な仕事をしています(全体を100人としたら)。
また、このデータは文系と理系合わせた全分野の博士課程の結果になります。
分野別のデータを記載されていたので図だけ載せておきます!
動画と比較して博士はどうなったのか?
動画を見て頂いた方は、
新しいデータで違いがあったのか?
と思った方もいると思うんですが、それを示したのが下の図です。
結論を言うとあんまり変わってない。
細かく見ると就職率は少しずつ良くなっています。
家庭の事情などでテクニシャンなどになって一時的な仕事についた人もいるので、思ったほど悪くはなさそう・・?
ただ、博士課程の人数増加によってこのような一時な仕事に就いた人などの割合が増えているのは事実です。
細かい人数データ(知りたい人だけ)
博士課程修了者: 15658人
就職者: 10603人 (67.7%)
正規職員: 8391人 (53.6%)
非正規職員: 2212人 (14.1%)
一時的な職に就いた人: 833人 (5.3%)
就職も進学もしていない者:2981人 (19.0%)
その他: 126人 (8.1%)
まとめ
・博士の就職率(68%)は多少改善傾向にあるが、あまり変化はしていない
・博士になったら就職できないと悲観するほど修士との違いはない(単純な就職率なら10%程度の違い)
・ただし、正規職員で比較すると20%程度の違いはある